日本集中治療医学会雑誌
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原著
くも膜下出血患者における術前脳脊髄液中S100β蛋白と神経学的予後の関連性の検討
大路 牧人寺尾 嘉彰一ノ宮 大雅三浦 耕資福崎 誠澄川 耕二
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2013 年 20 巻 4 号 p. 608-613

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抄録

【目的】くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage, SAH)では脳脊髄液中S100β蛋白濃度が上昇している。SAH患者において,髄液中S100β蛋白と神経学的予後との関連性について検討した。【方法】2006年6月から2008年5月までの期間に,SAH発症48時間以内に全身麻酔後,手術前に脳脊髄腔ドレーンを留置し,脳外科手術を施行された55名を対象とした。手術前の髄液中S100β蛋白を測定した。退院時の神経学的予後はGlasgow outcome scaleで評価した。【結果】55名中25名は神経学的予後不良だった。術前の髄液中S100β蛋白は予後不良群において予後良好群よりも高値を示した。神経学的予後不良に対する髄液中S100β蛋白の受信者動作特性曲線の曲線下面積は0.65であった。【結論】SAH発症後の術前髄液中S100β蛋白の増加が神経学的予後の悪化と関連している可能性が示唆されたが,正確な予後予測因子ではなかった。

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© 2013 日本集中治療医学会
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